「TWWS」~TONGARI Wood&Leather Workshop …の、一応オフィシャルサイト
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2010/02/12
18:47:35
さー、本日の石日記です。
そして週末鮮やか石タイムです。

木曜祝日だと金曜平日は損した気分になりませんか?

それはともかく。
今週は地味目な石が続いておりますが、昨日は石としては
地味っぽくても水晶としては派手にも過ぎる特徴を持つ、
珍妙水晶産地ロシア沿海州の水晶をご覧戴きました。
実際ヤツらはどれを取っても無茶が過ぎるよーな子ばかりで
楽しいんですけど、普段余り絶対数として多く見るわけでは
無い事と、少々生臭い話ながらやや割高な事が多いのとで、
そんなに頻繁にお迎えする事はありません。
なので、あんまり連射してしまうと短機関銃並みにあっさり
弾切れになっちゃうのが難点だったりして。

この辺は、やはり石暦の浅さも露呈している点ですね。

で。
そんな中、昨日「何処から見てもPavlovka」な緑水晶を
クイズに出しましたが…皆様産地、ご見当付きました?
何気に前にちょっとだけ話に上げたのですけど。
その先太りの小結晶が群れたスタイル、濃厚にも濃厚な
出し過ぎた緑茶のような緑、そして足元の灰鉄柘榴石。
私自身、改めて今見てもPavlovka産にしか見えないあの子、
実は全くその印象の無い、発見時私も「間違いじゃないのか?」と
思ってしまったような、こんな意外な産地出身だったのです。

という訳で、答えはこちらでした。

緑水晶_カザフスタン1
何とカザフスタン!!Σ(゚Д゚;)

…と、正解は詳細産地不明ながらカザフスタン産でした。
改めて、緑水晶&灰鉄柘榴石です。
但し、ロシア沿海州の大部分の緑と異なる点として、発色要因に
なっているインクルージョンは灰鉄輝石ではなく緑閃石。
といっても、こうやって見る分には完全に一緒に見えますよね。

本品は実サイズ60x15x15mm程、案外細長いです。
09年新宿ショーの戦利品で、実は以前「カザキスタンって何処だっけ?」と
いうとんちきな勘違い
をしていた子が、他でもないこの子だったりして。(苦笑
…言い訳すれば、ラベルが実際「Kazikistan」だったんですけどね。
実際、「カザキスタン」「カジキスタン」って報道とかでもたまーに
使われていたりしたので、すっかり勘違いしてましたヨ。( ̄▽ ̄;
やっぱり他国語を日本語にする弊害の一環だったんでしょうか?
そうは言っても、カザフスタン産としてもこんなのは見た事が無く、
実際検索辺りで調べても丸っきり出て来やしません。
私も入手元がアルプス紫と同じ某イタリア店様なので信用したいと
思いつつも、やはり何処かで疑念を抱いていたのですが…。

しかしふとした事で、信憑性が持てるようになりました。
確かに何処から見ても沿海州なんですけど、よーーーーっく比較して
みると若干ながら雰囲気の差異が見られます。
まず最大の差としてインクルージョンの緑閃石ですが、確かに
輝石と角閃石の、しかも細い針状結晶なので肉眼での見分けは
果てし無く無謀に近いのですけども、殆ど不透明ながら端を無理矢理
光に通してみると明らかに透明感が違います。
ご覧になった事がある方は何となくお判りかと思いますが、輝石系に
対して角閃石系の透明感って、明らかに「柔い」ですよね?
これもそんな感じでして、温かみのあるパステル…というには
少々濃いながら、柔らかな感じに透けるのです。
また、表面に付着した結晶も輝石のようなじゃきっとした鋭さは
余り感じず、やはりちょっと曲がっていたりして角閃石っぽい。
付随する灰鉄柘榴石も、全体的にオレンジが強く色が淡く感じます。
そして、最も大きく違う点として、風化が根元…というより
母岩残滓以外ほぼ見られず、余りにも「鉄の気配」が薄過ぎる。

しかしそれだけでは根拠としてまだ不足します。
そこでまず鉱床ですが、沿海州はスカルン鉱床故同じタイプの
鉱床がカザフスタンにあるかといえば…これははっきりとあります。
証拠は昨今名物と化しているメラナイトの存在。
あれも灰鉄柘榴石でスカルンの代表鉱物ですからね。
また、検索でもカザフのスカルン鉱床に言及した結構な数の
データが散見されます。

更にトドメとなったのが、実は以前自分で掘り返した論文データ。
奈良天川レモンの検証を行った時に引用したものですが、これ。
<金沢大学 地球学科 日本海学研究叢書よりの抜粋項>
「日本海及びその周辺域の岩石」

「日本海周辺」なので全く関係無いものに思われるのですが、
その中の3-(4)部分にある図11をご覧下さい。
やや小さくて見辛いですが、右上の画像、地中海周辺~欧州の屈曲
プレートと超高圧変成岩の分布を良く見ますと、多数のスカルン系
あるいは熱水・アルペインバイン系鉱物産地を通過して、カスピ海を
渡りカザフスタンへ抜けている事が見て取れます。
そして、同様の状況を示すラインがロシア・中国・日本にも。
つまり、カザフスタンにも沿海州と共通する性質を持った鉱脈が
存在する、あるいはしてもおかしくない…という事になるはず。
この水晶は灰鉄柘榴石を伴っておりますからまずスカルン系鉱床
出身でしょうけど、灰鉄輝石ではなく緑閃石なのはマグネシウム分の
差があったからかもしれません。
鉄自体はそれなりにあったはずですから、「共通しない成分」が
この産状の差を作り出したと考えるのが自然でしょう。

また、独特の形状に付いては私なりの推論が1つ。
この表面に大量の結晶が集るスタイル、コレ自体は各所で見られます。
こっちに関しては、通常の水晶の成長途中にちょっとした変化があった
程度の差で説明出来ると思います。
しかし、多量のインクルージョンが関わった場合は少々話が別。
インクルージョンは、水晶の成長という観点からの見方をすれば
明らかに「障害物」です。それが少数だったり、少しばかり多くても
1つづつが微細なら問題無いでしょう。
しかし、肉眼的な程のサイズで多数にわたる際はそうもいきません。
沿海州と同じ…と考えればこちらの熱水温も低めの部類に入ると
仮定出来ますから、そうなると大きな障害物が多数絡み合った中を、
ゆっくりと成長する事になります。
という事は、成長の「芯」の段階から細かい結晶に分かれて進まざるを
得ないわけで、結果として短柱状結晶の集合体として1本の結晶が
出来上がるのではないかと。
そう思うと、障害物の多い…即ち母岩に近い根元部分が邪魔が多くて
細くなり、少なくなる上部に行くに連れ太くなる独特の形状も
説明出来る気がするのです。
多分、もし透かして見れるのであれば、微細なファントムが結晶内に
大量に存在する状態になっているのでは?
また逆説的ですが、そういう構造故に遮光要素が多く、マトモに
透けない結晶が多いように思うのです。

…とまぁ、長くなりましたが素人推論ですがこんな感じ。
ですから、カザフスタンでこの水晶が出ても不思議ではないかな、と。
流通していないのは…何でしょうね、この手の水晶が採取出来る
開発区域が多いのでしょうか?
これも1本だけでしたし、詳細産地不明なのも個人採取品だったり
する事も考慮に入れれば何となく自然に思えるよーな。

ともあれ。
我が家でも有数の、「脳トレ石」の1つ。
皆様も今週末、適度な脳トレ的状況判断もしながら楽しくお過ごしを。

余り使い過ぎると焼け付きますのでご注意。
これ、推論の準備・整理終了時には焼け付きましたので。(苦笑



BGM:King Crimson「Moonchild」

※追記:2012/06/04
'12新宿で業者さんと再会したので、詳細産地が判明しました。
ってか判ってるなら最初から書いてくれー。(苦笑
国は同じで「Kara-Oba W deposit, Betpakdala Desert, Karagandy Prov.,」です。
ただ、mindatではここは登録鉱物を見る限りスカルンというよりはペグマタイト
或いは気成鉱床の気配が強く、また同様品の登録もやっぱりありませんでした。(汗
そしてまたしてもラベルは微妙に違う「Kara-Ob『e』」。
とはいえそれでは全く情報がヒットせず、該当しそうな産地名がここしかありません。
多分やっぱり英語とイタリア語のちゃんぽんのせいだと思いますが…。
でもぐぐる先生でも一桁だからなぁ、ただの誤字かなぁ。( ̄Д ̄;

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TONGARI Take

Author:TONGARI Take
多趣味過ぎて常にテンパってる人。実はクラフト歴まだ浅いので、発想勝負。石は鉱物・岩石何でもありの鉱物-造形美好き中間派。パワーストーンは「何やら不可思議神秘系」ではなく、「天然造形芸術力」という意味で信じているタイプ。言うなれば「鉱物無頼・盆栽派」。

石に付いては色々書いていますが、全て「補足」です。本質の一端を知る為に調べた事を書き連ねている事が多いです。皆様はそれに囚われることなく感じたそのままにご覧いただけると嬉しいです。
なお、石暦は3年半を過ぎました、まだまだ精進の身です。 orz

尚、石画像は標本写真と言う意識は殆ど無く、「現物に出来るだけ忠実なグラビア」的指向で撮影しています。
完全再現を求める標本写真がお好みの方には合わないかもしれませんが、その点はどうぞご了承の程お願いします。

使用カメラ:Canon IXY Digital 20IS
コレしか持ってないしー。

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