「TWWS」~TONGARI Wood&Leather Workshop …の、一応オフィシャルサイト
2017/07«│ 2017/08| 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 »2017/09
文字サイズ文字サイズ:大文字サイズ:中文字サイズ:小
--:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Category:スポンサー広告│ コメント:--│ トラックバック :--
2013/01/13
21:38:37
さて。
本日の石日記では、もう1度石膏をご覧戴こうと思います。
多分「ちょっと変わった」存在の子だと思います。

変わった、と言ってもモノは至極普通の石膏です。
ちょっと形が変に見えますが別段珍しいようなものではありませんし、
それ故に当然昨日のような美結晶でもありません。
若干黄色味がかっておりますが、これは産地的に含まれる鉄分に由来する
ものであり、これまた石膏では別に珍しい現象とは言えないでしょう。

じゃあ何が「ちょっと変」なのか。
まずは画像をご覧戴きましょう。

石膏_マルタ1_480
ごそごそだけど破面は下方2辺の劈開面のみ。

複数画像なので続きへどうぞ。

マルタ共和国ゴゾ島はMarsalforn産の石膏です。
実サイズは60x50x20mm程の中庸サイズで全体が1群の結晶で、1枚の土台と
なっている板状結晶に小結晶が同化しつつ群れたアグリゲート系の子。
体裁的にはいわゆる「砂漠のバラ」の砂っ気が薄いものをご想像戴ければ
大体コイツの感覚としては正しい辺りに着地すると思います。
元々柔らかい雰囲気の石膏が角が、色が、透明度が丸くなったためにより
一層優しい雰囲気になった、非常に温かみ溢れる子です。
後、3桁前半とお財布にも暖かかった。(笑

で。
何処が変か、と言えば産地です。
いや、変と言うか少なくとも私の知る限りではマルタ産の鉱物標本という
ものは探しても中々見掛けないと思います。
(※注:私の探索は国内メインなので、海外事情は知りません
これはこの子をお迎えして初めて知った事なのですけども、それもそのはずで
マルタ共和国は珊瑚礁生成という地質的でない存在を例外とした諸国の中でも
特に鉱物種の産出が少ない部類に入る国の1つらしいのです。
事実あのmindatでも、国単位の産地データでも僅か24項の登録(※執筆時現在)
のみであり、しかもその内9項は亜種やグループ・野外名、または岩石名の登録
ですから、純粋に確定種として記載されているのは僅か15種。
他にどの程度少ない国があるかは流石にキリが無いので調べておりませんが、
これは国単位の産出種数としては極めて少ない数字になるでしょう。
更に言うならこれが近年まで未開の地であった所であればまだ判らなくも
ありませんけども、マルタは人類史に於いて非常に古くから地中海交易その他の
重要地として歴史の節目節目に顔を出す所。
しかも鉱物研究発祥の地である欧州圏にあってそんな状態ですから、いかに
鉱物的には影の薄い場所であったかが判ろうというものです。
この子はそんな、「無鉱物国」からの数少ない使者の1つという訳です。

すぐ北にあるシチリア島との印象差が凄い。(苦笑

マルタ共和国の沿革はひとまずWikiに譲るとして、鉱物が少ないのはどうやら
この島群が全て堆積質の石灰岩のみで出来ているからのようですね。
確かに鉱物種もそんな感じの系統に纏まっています。
ただその古い堆積岩塊という状況故に化石ではかなり有名だそうですが、
mindat記載を見ると持ち出しは違法?
私化石方面は明るくないのでよく存じませんが。

そんな子の裏表アップ。

石膏_マルタ1アップ1
便宜上表。

石膏_マルタ1アップ2
便宜上裏。

これを見ると、確かにこの子からもそんな気配がしていますね。
一目瞭然ですが、片面の結晶群のみが縦方向に成長した状態になっています。
恐らくこれは、石灰岩中の空隙に於いて粘土の如く沈殿して結晶するという
いかにも堆積岩中生成な状況下にあったため、露出面である部分しか結晶が
成長しなかった結果こうなったと推測されます。
また非常にルーズなのは、水溶性の気が強い石灰岩中で溶解した粘土状の
沈殿物がある中で生成したからだと思います。
私は専門家ではありませんけど、これは大きく外れていない気がします。

一方、マルタ島はこと「大理石」石材では非常に有名なようで、正直調べて
いると邪魔なくらい建材系のデータばかり引っ掛かってきます。(苦笑
思えば地中海は古くから建材として大理石を多用し、その多くはいわゆる
ブランド産地こそあれど現地調達も非常に多かった訳ですし、そもそも
歴史上に出て来る建造物がそうなんですから現地産出するというのが自然。
船舶の発達していない頃からですからね。

という事は、石灰岩の主成分の1つである本鉱は、当地の歴史に深く深く
関わり続けて来た、人類史の観察者の一族でもある訳で。
ややクリームがかった白色の大理石で建てられた、地中海の利を得て
陽光に輝く壮麗な商館。

そんな今となっては古代ロマン溢れる風景の、今に残るカケラかもしれません。


BGM:Van Der Graaf Generator「The Emperor In His War Room」

スポンサーサイト


コメント
コメントの投稿









トラックバック
トラックバックURL
→http://twws.blog38.fc2.com/tb.php/1493-3a3f7fc6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
プロフィール

TONGARI Take

Author:TONGARI Take
多趣味過ぎて常にテンパってる人。実はクラフト歴まだ浅いので、発想勝負。石は鉱物・岩石何でもありの鉱物-造形美好き中間派。パワーストーンは「何やら不可思議神秘系」ではなく、「天然造形芸術力」という意味で信じているタイプ。言うなれば「鉱物無頼・盆栽派」。

石に付いては色々書いていますが、全て「補足」です。本質の一端を知る為に調べた事を書き連ねている事が多いです。皆様はそれに囚われることなく感じたそのままにご覧いただけると嬉しいです。
なお、石暦は3年半を過ぎました、まだまだ精進の身です。 orz

尚、石画像は標本写真と言う意識は殆ど無く、「現物に出来るだけ忠実なグラビア」的指向で撮影しています。
完全再現を求める標本写真がお好みの方には合わないかもしれませんが、その点はどうぞご了承の程お願いします。

使用カメラ:Canon IXY Digital 20IS
コレしか持ってないしー。

これまでの来訪者数
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新コメント
最新トラックバック
リンク
このブログをリンクに追加する
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。