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19:55:35
さて、本日2発目の石日記。
引き続き「合同戦利品」特集、今回は'12横浜からです。

今回の子は、非常に普遍的な鉱物です。
割と世界中色んな処で出て、産出量も多く、標本も多数流通。
ですが、だからこそ後に回してしまっていた子でして、基本的な種の割には
私は入手が遅かったのかもしれません。

ただ、この子には非常にある意味面倒なイメージというか誤解というか、
分類上の罠のようなモノが根強くありまして、混乱してる方も多いかと思います。
その辺の整理も兼ねていきましょう。

硬石膏_メキシコ1
やっと我が家1個目。

メキシコ、チワワ州はNaica鉱山産の硬石膏です。
パワスト系の方にはコレの塊状のもの(主にペルー産)が「エンジェライト」として
流通していると言えば「ああ」と思っていただけるかと。
実サイズは標本がでかくなりがちな本鉱としてはコンパクトな方と言える
45x25x5mm程で、淡い水色の板状結晶が放射状に集合したものです。
実物はもうちょっと灰水色というか青が強めなのですが、どうも透過光だとこの
青色は飛んでしまいやすいらしく、肉眼でも大分薄れてしまいます。
とはいえこの透明感あってこそのこの造形なので、あえてそこは目を瞑りました。
ちなみに3桁均一のトレーから拾い上げた子です。

さて、この硬石膏…と言うよりは「石膏」を取り巻く事情ですけども。
まず、大前提として一般的に言う石膏(Gypsum)と本鉱は全くの別物です。
カルシウムの硫酸塩鉱物という大枠は変わりませんが、水分量が違います。
通常の石膏は2水和物ですが、本鉱は名の由来がそのものずばり「無水物」。
ちなみに皆さんの一般的なイメージの「石膏」であると思われる、美術等で
使われるものは半水和物の「焼石膏」で、これも前2者に比べると遥かに希産で
結晶も小型ではあれ、天然で一応バサニ石(Bassanite)として存在します。
んで、それらは結晶を成立させる組成が異なりますから、自ずと別鉱物という訳。
一般に正式な和名と組成と結晶系で整理するとこう。
(ついでに各鉱のmindatデータベースへもリンク

石膏(Gypsum)=Caの硫酸塩二水和物、CaSO4・2(H2O)、単斜晶系
バサニ石(Bassanite)=Caの硫酸塩半水和物、CaSO4・0.5(H2O)、単斜晶系
硬石膏(Anhydrite)=Caの硫酸塩無水物、CaSO4、斜方晶系

そしてこれが一般に最大のイメージとの差だと思いますが。
普通の石膏を加熱すると内部の結晶水が飛んでしまい、焼石膏(=バサニ石)に
なります…が、これは結晶系は変わらないまま水が抜けただけであり、物質として
非常に不安定になってしまっております。
しかしここに水を足すと、その不安定さ故に失った結晶水を旺盛に取り戻していき、
最終的にまた元の石膏に戻ります。
これが、塑像で石膏像等を作成する時の基本的なメカニズムです。

しかし、元々無水物である硬石膏はちょっと事情が別。
そもそもの結晶構造が違いますので、例えば焼石膏を延々熱しても本鉱には
なりませんし、本鉱を水に浸けても焼石膏や石膏に戻る事はありません。
何故なら、根本的な設計図そのものが違うからです。
唯一硬石膏がその2者に変わる場合があるとすれば、水溶性の気がありますので
成分が水に溶けて再結晶した際に水和物として出来上がる可能性がある位です。
(というか、一部の石膏・バサニ石はそういう成因だそうです

また、成分や組成から重晶石や天青石との関連が取り沙汰されるのは通常の
石膏やバサニ石ではなく、正確には無水物であるこの硬石膏です。
実際色々類似点は多いそうですが、しかし意外な事に重晶石グループには
参加しておらず、それ以前にグループ自体持たない独立した鉱物となっています。
(むしろ硫酸鉛鉱が重晶石グループな事の方が忘れられ易いかも

この辺、自分の頭の整理もかねてます。
今回本鉱を入手して、ようやくその辺に具体的な整理が付いた感じなので。
よーやっと、痒いところに手が届いたとでも申しましょうか。

現物を手に取ると、何故だか問題点が目に見えなくとも漠然としていたイメージが
急にはっきりと知覚出来る感じは石に限らずあると思いますが、この子はそんな子。
かの有名な言として「鉱物に図鑑は意味が無い」というものがありますが、全てが
無駄ではないにしろ現物1個に敵わないというのは確かに実感する時があります。
正に実学、しかしそういう世界だからこそ泥沼のハマり甲斐もあるってもんで。(笑

未だずぶずぶと深みへ進み続ける、これはそんな私の象徴的な子かもしれません。


BGM:Mike Oldfield「Tricks Of The Light」

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TONGARI Take

Author:TONGARI Take
多趣味過ぎて常にテンパってる人。実はクラフト歴まだ浅いので、発想勝負。石は鉱物・岩石何でもありの鉱物-造形美好き中間派。パワーストーンは「何やら不可思議神秘系」ではなく、「天然造形芸術力」という意味で信じているタイプ。言うなれば「鉱物無頼・盆栽派」。

石に付いては色々書いていますが、全て「補足」です。本質の一端を知る為に調べた事を書き連ねている事が多いです。皆様はそれに囚われることなく感じたそのままにご覧いただけると嬉しいです。
なお、石暦は3年半を過ぎました、まだまだ精進の身です。 orz

尚、石画像は標本写真と言う意識は殆ど無く、「現物に出来るだけ忠実なグラビア」的指向で撮影しています。
完全再現を求める標本写真がお好みの方には合わないかもしれませんが、その点はどうぞご了承の程お願いします。

使用カメラ:Canon IXY Digital 20IS
コレしか持ってないしー。

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